具体的な内容は以下のとおりです。



自動動粘度試験装置 (Automatic Viscometer)
動粘度測定

石油製品の分類や選定基準の重要な要件の一つとして動粘度が使用されます。また、動粘度は、使用油の劣化状態を判定する重要な要件となっています。

原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法(JIS K 2283)

原理・試験方法

動粘度は、細管を通じて一定量の油が流出するのに要する時間を測定して求めます。粘度計には、それぞれ固有の定数があり、動粘度は流出時間と定数を掛けることにより求めることができます。動粘度の単位は、従来一般にはセンチスト−クス(cSt)が用いられていましたが、1995年4月1日より国際単位の平方ミリメ−トル毎秒(mm2/S)で表すことになっています。本試験設備は、この原理を用いて自動的に動粘度の測定を行います。


自動マイクロ残留炭素分試験器 (Micro Carbon Residue Tester)
残留炭素分

残留炭素分は、試料を蒸発及び熱分解させたとき生成されるコ−クス状炭化残留物をいいます。なお、灰分を多く生成する物質を含む石油製品は残留炭素分の値が高くなります。単位は、質量パ−セントで表します。

原油及び石油製品−残留炭素分試験方法
(JIS K 2270)

原理・試験方法

試料0.15〜5gを試料容器に量り採り、コ−キング炉に入れて窒素雰囲気下で自動的に500℃まで余熱した後、更に500℃で15分間強熱し、その後試料容器をデシケ−タ中で放冷して質量を量り残留炭素分を求める。


低温粘度測定装置 (Low Temperature Viscosity by Brookfield Viscometer)
低温粘度測定

自動車用潤滑油の低温、低せん断速度の条件下における粘度を測定する装置で、ブルックフィールド粘度計を用いて測定します。

Standard Test Method for Low-Temperature Viscosity of Automotive Fluid Lubricants Measured by Brookfield Viscometer (ASTM D 2983)
マルチグレードギヤー油(DSP K 2248)

原理・試験方法

試料油を試験温度に保った恒温槽で16時間冷却し、試料油に入れたブルックフィールド粘度計のスピンドルを一定の速度で回転させて、その時のダイヤルの読みから粘度を求めます。


自動流動点試験器 (Auto Pour and Cloud Point Tester)
流動点

石油製品を冷却すると、油中のワックスが析出したり、粘度が増加して、流動性が失われ、固まってしまいます。この温度を凝固点といい、凝固点に達する前のわずかに流動性が認められる温度を流動点といいます。JISでは凝固点より2.5℃高い温度を流動点と定義しています。

原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法(JIS K 2269)

原理・試験方法

試験管にとった45mlの試料を45℃に加温し、つぎに規定の方法で冷却します。試料の温度が2.5℃下がるごとに試験管を冷却浴から取り出し、試料が5秒間、全く動かなくなったときの温度を読み取り、この値に2.5℃を加えた温度を流動点として求めます。この原理を自動的に試験できるようにした試験器です。


自動引火点試験器 (Automatic Flash Point Tester)
引火点

石油製品は加熱すると蒸気を発生し、これと空気の混合ガスに火を近づけると、ある温度で瞬間的に引火して消えます。このときの試料に引火する温度を引火点といいます。引火点の試験方法には、試料の引火点の範囲により、つぎのような試験方法があります。

タグ密閉式引火点試験方法 :引火点93℃以下(主に灯油、軽油等)
ペンスキ−マルテンス密閉式引火点試験方法:規定なし(主に原油、重油等)
クリ−ブランド開放式引火点試験方法:引火点80℃以上(主に潤滑油)
セタ密閉式引火点試験方法 :規定なし(主に原油等)
原油及び石油製品引火点試験方法(JIS K 2265)
原油試験方法(JIS K 2601)

原理・試験方法

JIS K 2265の試験方法に準拠して、自動的に引火点を測定します。自動引火点試験器は、タグ密閉式、ペンスキ−マルテンス密閉式及びクリ−ブランド開放式の3試験が行えます。セタ密閉式は手動で行います。


自動密度比重計(Density/Specific Gravity Meters)
密度比重測定

試料の15℃における単位体積当たりの質量を求めます。また、等体積の水の質量との比として比重が求められます。

原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算法(JIS K 2249)

原理・試験方法

試料で満たされた測定セルを自然振動させたとき、その振動周期は測定セル内の試料の密度によってそれぞれ異なった値を示します。密度の分かっている標準物質の振動周期を求めておくことによって、未知試料の密度を求めます。


界面張力計・表面張力計(Du Nouy Surface/Interface Tension Meter)
界面張力・表面張力測定

ディヌイ表面張力計を用いて、油と水、あるいは油と空気の界面から白金環を引き離す力より界面(表面)張力を算出します。

切削油剤(JIS K 2241)

原理・試験方法

規定に従って試験器を調整して、水の表面張力を測定することにより試験器の検定を行います。水の表面張力が71〜72×10-3N/mの範囲に入るように繰り返し調整した後、試料の表面張力の測定を行います。


自動中和価試験装置(Potentionmetric Titration for Neutralization Number)
自動中和価試験

潤滑油の中和価(酸価及び塩基価の総称)を電位差滴定法によって求めます。試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要するKOHのmg数、塩基性成分を中和するのに要する酸と当量のKOHのmg数で示されます。

石油製品及び潤滑油−中和価試験方法(JIS K 2501)
Standard Test Method for Base Number Determination by Potentiometric Titration(ASTM D 4739−トライソルベント法)

原理・試験方法

規定量の試料をトルエン、2-プロパノール及び少量の水の混合溶剤に溶かし、ガラス電極と比較電極によって、酸価ではKOH標準2-プロパノール液、塩基価ではHCL標準2-プロパノール液で電位差滴定します。滴定曲線から得られた変曲点をもとに酸価あるいは塩基価を算出します。また、塩基価には試料をトルエン、酢酸溶液に溶かし、過塩素酸標準酢酸液で電位差滴定する方法とトルエン、2-プロパノール、クロロホルム及び少量の水の混合溶剤を用いてHCL標準2-プロパノール液で滴定するトライソルベント法があります。


抗乳化性試験器 (Demulsibility Characteristics Tester)
抗乳化性

潤滑油は水又は蒸気に接触すると乳化する傾向があり、その乳化に抵抗する性質、又は水や蒸気と分離する性質のことを抗乳化性といいます。タ−ビンのように運転中に水又は蒸気が潤滑油に混入し易い装置にたいしては、油の抗乳化性が重要な項目になります。

石油製品−潤滑油−抗乳化性試験方法(JIS K 2520)

原理・試験方法

試料40mlと純水40mlを試験管に採り、規定の試験温度に保ち、かき混ぜ板を毎分1500回転で5分間かき混ぜ、生じた乳化液が水と油とに分離する時間を測定し、抗乳化性を求めます。

抗乳化性の結果の一例はつぎのとおりです。

15分経過後は乳化層が3mlを超えて残っていたが、20分間経過後には完全に分離した場合
40 − 40 − 0  (20)
(油層)−(水層)−(乳化層)


微量水分測定装置(Water Content Analyzer)
微量水分測定

潤滑油中に水分が混入すると潤滑不良、油の劣化促進等の原因となります。本測定装置では、潤滑油中の水分量をカールフィッシャー試薬を用いた電量滴定法によって求めます。10μg領域の微量な水分量も精度良く測定できます。

原油及び石油製品−水分試験方法(JIS K 2275)

原理・試験方法

ヨウ素イオンと二酸化イオウを主成分とするピリジン、メタノール混合溶液に試料を加え、電気分解により陽極にヨウ素を発生させて水と反応させます。その際、ヨウ素は電気量に比例して発生し、ヨウ素1モルは水1モルと定量的に反応します。電気分解に要したクーロン量から水分量を求めます。


低温見かけ粘度測定装置(CCS) (Apparent Viscosity of Engine Oils at Low Temperature Using the Cold-Cranking Simulator)
低温見かけ粘度測定

-40℃〜0℃間で高せん断速度(104〜105S-1)におけるエンジン油の見かけ粘度を測定し、エンジン油のエンジンクランキング特性を評価します。

内燃機関用潤滑油(JIS K 2215)
自動車エンジン油粘度分類(JIS K 2010附属書A)

原理・試験方法

少量の試料を試験温度に保った回転子と固定子との間に満たし、回転子の速度を求めます。標準油を使用して油の粘度と回転子の速度指示計の読みから校正曲線を求めておき、回転子の速度から見かけ粘度を求めます。本試験は米国のSAEが規定しているエンジン油の低温粘度に関する規格に採用されています。


低温ポンプ吐出性能試験装置(MRV) (Yield Stress and Apparent Viscosity of Engine Oils at Low Temperature by Mini-Rotary Viscometer)
低温ポンプ吐出性能試験

エンジン油のポンピング特性について、ミニロータリー粘度計を用いて、限界降伏応力または限界粘度に至るときの温度によって評価します。

Standard Test Method for Determination of Yield Stress and Apparent Viscosity of Engine Oils at Low Temperature(ASTM D 4684)

原理・試験方法

試料油10mlとローターを装置内にセットし、80℃で2時間加熱した後、規定温度まで冷却します。例えば、-40℃まで冷却する場合は53時間を要します。規定時間に達したらローターの上部に巻きつけた糸の端に規定重量のおもりを乗せてローターが動くか否かを測定します。150gのおもりでローターが3回転する秒数から粘度を算出します。


高温高せん断粘度試験装置(TBS)(High Temperature High Shear Viscosity by Tapered bearing Simulator)
高温高せん断粘度試験

内燃機関用潤滑油の燃費を低減する一時的な粘度低下及びエンジン内での実効粘度について、温度150℃、せん断速度1×106S-1における見かけ粘度により評価します。

潤滑油高温せん断粘度測定装置(JPI-5S-36-91)

原理・試験方法

温度150℃、せん断速度1×106S-1における試料の粘度抵抗によって発生するロータートルクを測定します。試験に先立って、ローター、ステーター位置等の装置の校正を行うとともに、規定の標準油5種を用いてロータートルクと粘度との関係を求め、試料油の測定によって得られたトルク値と標準油の測定で得られた関係式から、試料油の見かけ粘度を算出します。


ちょう度試験器 (Cone Penetration Tester)
ちょう度

規定円すいが、試験容器に入った平らにならされた試料に5秒間自重で進入する深さをミリメートルの10倍で表した数値で、グリースの硬さを示します。
普通は混和ちょう度が用いられますが、以下の各試験を組み合わせてせん断の影響を示すこともできます。

グリース(JIS K 2220)
Cone Penetration of Lubricating Grease (ASTM D217)

原理・試験方法

貯蔵ちょう度
 容器に入ったままの試料を25℃に保持したのち測定します。

不混和ちょう度
 試料をできるだけ混ぜないようにして混和器に移し、試料を25℃に保持したのち測定します。

混和ちょう度
 混和器中の試料を25℃に保持したのち、60ストローク混和した直後に測定します。

多混和ちょう度
 混和器で規定の回数混和したのち測定します。

固形ちょう度
 切断器で切った試料を25℃に保持したのち測定します。


滴点試験器 (Dropping Point Tester)
滴点

試料を規定装置及び規定条件で加熱した場合、半固体から液状になりかけて、その初滴が落下したときの温度をいいます。グリースの選択にあたっては使用時の温度より数十℃高いものを用いるとよいとされています。

グリース(JIS K 2220)
Dropping Point of Lubricating Grease (ASTM D566)

原理・試験方法

カップに試料を充填し、空気浴中に入れ、温度計を差し込み、油またはグリセリンなどの加熱浴中で規定条件で加熱し、試料がカップの口から滴下したときの温度を読み求めます。


スキャンニングブルックフィールド粘度測定装置 (Scanning Brookfield Viscometer)
スキャンニングブルックフィールド粘度測定

スキャンニングブルックフィールド粘度計は、回転粘度計の一種であり、エンジン油の低温粘度を測定し、低温での油だめからオイルスクリーンへの流動性を評価するために用いられます。

Standard Test Method for Low Temperature, Low Shear Rate, Viscosity/Temperature Dependence of Lubricating Oils Using a Temperature-Scanning Technique (ASTM D5133)

原理・試験方法

規定の方法で冷却し、せん断速度1.7sec-1及びせん断応力70Pascalの条件で、粘度計からのトルク出力を既知の検量線からコンピュータが自動的に粘度に換算し、その粘度変化からゲル化指数及びゲル化温度を自動計算により求めます。


自動アニリン点試験器 (Automatic Aniline Point Tester)
アニリン点

同量のアニリンと試料とが均一な混合溶液として存在する最低温度をアニリン点といいます。アニリン点は潤滑油基油の精製度合や潤滑油のシ−ル材への影響などを知るための重要な要件です。

石油製品アニリン点及び混合アニリン点試験方法(JIS K 2256)
石油製品−潤滑油−抗乳化性試験方法(JIS K 2520)

原理・試験方法

それぞれ10mlのアニリンと試料とを試験管に入れ、かき混ぜながら2相が完全に混合するまで1分間に1〜3℃で加熱します。次いで、混合液を1分間に0.5〜1℃で冷却し、混合液全体が急に白濁するときの温度を読み取り、温度計の誤差を補正してアニリン点とします。この原理を基に自動でアニリン点を求める試験器です。





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