具体的な内容は以下のとおりです。



フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR) (Fourier-Transform Infrared Spectrometer)
赤外分光分析

潤滑油剤、添加剤に含まれる成分のうち、特徴的な赤外吸収を示す部分(C=C結合、C=O結合等)を見ることにより、組成の分析を行うことができます。また水、異油種等の混入を発見することも可能です。顕微装置の設置により、微量サンプルの測定も可能になりました。

電気絶縁油試験方法(JIS C 2103)
流動パラフィン(試薬)の定性
(JIS K 9003)等

原理

分子を構成している原子と化学結合は、球とバネから作られた系に似た運動をしています。分子に或る振動数の赤外光が当たった場合、同じ振動数で振動している結合(バネ)があれば、そこで赤外光を吸収します。無い場合は、そのまま分子を通過します。この現象を利用して試料に振動数の異なる赤外光を連続的に照射し、吸収のスペクトルを測定したものを赤外吸収スペクトルと言います。

(JIS K 0117)参照


ダブルビーム分光光度計 (Double Beam Ultraviolet and Visible Spectrophotometer)
紫外可視分光分析及び比色分析

潤滑油中の紫外線及び可視光線に吸収される分子構造を見ることにより、組成の分析を行うことができます。また、濃度の違いによる色の変化度合いを調べて(比色分析)、リン分、塩素分等を測定することができます。

潤滑油中のリン分試験方法(比色法)
(ASTM D 1091)他

原理

目にみえる波長(400〜800nm)の光を可視光線と呼び、それより短い波長の光を紫外線と呼びます。可視、紫外領域の光が物質を通過するとき、光のエネルギーによって物質の電子状態に変化を起こし、その一部が吸収されてエネルギーを失います。この現象を利用して吸収スペクトルを測定したり、比色分析を行います。

(JIS K 0115)参照


プラズマ発光分光分析装置(ICP) (Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometer)
金属元素分、硫黄分分析等

潤滑油への金属等の混入を発見することが可能です。
使用潤滑油の金属等を定期的に分析し定量することで、機械やエンジンなどの保守管理に有効に役立てることができます。

潤滑油中の金属分析(ASTM D 5185)
潤滑油中のCa,Mg,Zn,P,B,Ba及びMo分試験方法(JPI-5S-38-92)
使用潤滑油中のFe,Cu,Al,Pb,Cr及びSn分試験方法(JPI-5S-44-95)等

原理

アルゴンガスに誘導結合方式で高周波をかけ、イグナイターの放電によりAr原子が連鎖反応的に電離し、連続したアルゴンガスの電離気体(プラズマ)が生成します。その中に試料を導入すると金属元素はプラズマのエネルギーによって励起発光され、試料中に含まれる元素特有の光(輝線スペクトル)を発します。発生した光は分光器で分光され、元素特有の波長での光強度を光電子倍増管で測定し、標準溶液により予め求めた検量線から試料の金属元素の濃度を求めます。

(JIS K 0116)参照


蒸留ガスクロマトグラフ (Gas Chromatography)
ガスクロマト分析、燃料希釈分析等

蒸留ガスクロマト分析、エンジン油の燃料希釈分の測定、並びに基油の組成分析等を行うことができます。

石油留分のガスクロ法蒸留試験方法
(JIS-K 2254参考)
燃料希釈分分析方法
(JPI-5S-23-84,JPI-5S-24-84)等

原理

充填物をつめた分離管内で混合物を、キャリヤーガスにより展開させて分離する方法です。固定相に固体粒子を用いる場合を吸着ガスクロマトグラフィー、液体を担体にコーティングした充填剤を用いる場合を分配クロマトグラフィーといいます。現在では後者の方が主流で、まず試料はキャリヤーガスとともに分離管に送り込まれ、吸着性または気相と液相との分配係数の差により分離され各成分はピークとして記録されます。ピークの保持時間から定性分析を、またその面積から定量分析を行うことができます。
検出器には水素炎イオン化型(FID)、熱伝導度型(TCD)、電子捕獲型(ECD)などがあります。
このうち潤滑油関係によく用いられるのは、水素炎イオン化型(FID)です。
蒸留ガスクロマト分析は、ガスクロマトグラフを用いて、石油留分等の沸点分布を測定する方法です。ガスクロマト分析では一般に炭化水素標準品が沸点順に溶出するため、溶出時間(保持時間)と沸点の検量線を作成することができます。これによって保持時間を沸点に換算することができるため、未知試料の場合でも保持時間から沸点への換算が可能となります。これとクロマトグラム面積データとの関係から溶出量(留出量に相当)と沸点の関係、つまり、蒸留曲線に相当するデータを得ることができます。


超臨界液体クロマトグラフ (Supercritical Fluid Chromatography)
潤滑油の組成分析、軽油中の芳香族分の分析等

潤滑油の分離分析により、飽和分や芳香族分等の組成分析ができます。また、ディーゼル燃料のパラフィン分、オレフィン分及び芳香族分を定量することが可能です。

ディーゼル燃料中の芳香族分の分析方法(ASTM D 5186)

・原理

二酸化炭素を臨界圧力(7.38MPa以上)、臨界温度(31.3℃以上)にすると液体と気体の中間の性質(密度は液体、粘度は気体、拡散係数は液体と気体の中間)を持つ超臨界流体となります。この二酸化炭素の超臨界流体を移動相として、試料を充填剤の入ったカラム(固定相)に導入して分離させた後、水素炎イオン化検出器及びUV検出器により、その溶出成分と保持時間との関係を求めて定性及び定量分析を行うことができます。


微量窒素分析装置 (Total Nitrogen Analyzer)
石油製品中の全窒素分の測定

潤滑油の基油や添加剤及び劣化生成物中の窒素化合物を全窒素分として測定することができます。

原油及び石油製品−窒素分試験方法(JIS K 2609)

原理

酸素をキャリヤーガスとし、高温(800〜900℃)に加熱された酸化触媒上に試料を注入することにより、試料中の窒素化合物は酸化分解されてNOになります。これに酸素ガスから発生させたO3ガスを加えると次のような酸化反応が起こります。
NO+O3→NO2+O2+hν
この反応の過程で、590〜2500nmの波長の化学発光がみられます。その強度は広い範囲でNOに比例するので、この光を光電子倍増管で受光、増巾して、予め標準溶液で作成した検量線を用いて試料中の窒素濃度を求めます。


微量塩素分析装置 (Total Chlorine Analyzer)
石油製品中の塩素測定

固体及び液体中の数ppmから数%レベルの全塩素分を定量することができます。潤滑油添加剤の中には塩素系のものがあり、一部の潤滑油剤ではこれが配合されているものがあります。しかし、最近では環境保全の見地から、塩素系の溶剤や添加剤が使われなくなる傾向にあり、そのチェックのために測定する場合が多いようです。

原理

試料をボートにのせて電気炉中に挿入し、アルゴン/酸素気流中で燃焼させます。ここで生成した塩化水素を滴定セルへ導き、電量的に発生させた銀イオンで自動滴定します。終点は電位検出法によります。滴定に要した電気量から、塩素量を計算しデジタル表示及びプリントアウトします。


走査型電子顕微鏡 (Scanning Electron Microscope)
SEM像撮影、EDX定性分析等

摩耗した金属表面の電子顕微鏡写真を撮影したり、試料表面における元素の分布状態などを測定することができます。

原理

走査型電子顕微鏡:SEM

試料に電子線を照射すると、その電子線は試料の構成原子とさまざまな相互作用を行い、その結果いろいろな信号が表面から発生します。SEMとは細く絞った電子線プローブを順次試料上に走査照射し、各点状領域から発生する2次電子(あるいは反射電子)を次々に検出して、観察用ブラウン管上にその信号の分布像を表示させる装置のことをいいます。

エネルギー分散型X線分光法:EDX(Energy-Dispersive X-ray Spectroscopy)

試料に入射した電子線は、試料内の電子状態を励起し、エネルギーの一部を失います。この時構成元素に固有の波長(エネルギー)を持つX線が発生します。このX線の波長(エネルギー)を分析することで元素の定性分析ができます。また各々のエネルギーについて強度を測定し、標準強度と比較することで定量分析が可能となります。また、走査像観察装置との併用により各元素の試料内分布像を得ることもできます。


熱分析計等 (Thermal Analysis Instruments)
熱重量分析計(TG)、示差熱分析計(DTA)、示差走査熱量計(DSC)等

石油製品はもとより、広範囲の物質について、少量の試料で(数mg〜数十mg)、特殊な前処理をすることなく、広い測定温度領域(氷点下〜1500℃)における物性変化を知ることができます。熱分解温度の測定、蒸発量の測定、耐熱性評価、分解・酸化等の反応熱を伴う変化の分析、比熱測定等

原理

熱重量分析計(TG)では、加熱炉の中に試料を入れ、制御された温度プログラムに従って試料の温度を上げていった時に生ずる重量変化を熱天秤により連続的に検出記録します。示差熱分析計(DTA)は、試料と基準物質が、制御された温度プログラムの下にある時、両物質間の温度差を温度の関数として測定するものです。示差走査熱量計(DSC)は、試料と基準物質とが、制御された温度プログラムの下にある時、試料と基準物質に対するエネルギー入力の差を、温度の関数として測定するものです。



波長分散型蛍光X線分析装置 (Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer)
波長分散型蛍光X線分析装置

特別な前処理なしに潤滑油中の金属を迅速に測定することができます。またEUにおけるELV(廃自動車)指令やRoHS(廃電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)指令等により規制されている水銀、カドミウム、鉛、6価クロムのクロム分、ポリ臭化ビフェニル及び、ポリ臭化ジフェニルエーテルのBr分等の有害物質の測定も可能です。

原理

ある元素にX線管から出るX線(1次X線)を照射することによって、その物質を構成する元素ごとに固有の蛍光X線が発生します。これを分光結晶で分光しX線の波長と強度を測定する事で、試料中に含まれる元素の種類及び濃度を測定することができます(波長分散型分析)。検出下限が低く分解能も高いという特徴を有しています。
・分析対象元素:B(ホウ素)〜U(ウラン)
 (一般的な金属元素、硫黄及びハロゲン等の分析可能)
・定量下限:Hg, Cd, Pb, Cr(RoHS規制対象元素)10 ppm〜
 潤滑油添加剤に含まれるCa、Zn、Pについても、精度良く測定が可能





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